0 はじめに~現場の発想
1 作戦の概要
2 作戦① 漢字とことばの知識の問題の攻略
3 作戦② 記述問題の攻略
4 作戦③ 接続語・指示語の問題の攻略
5 作戦のまとめ
6 男子校・女子校の各作戦
はじめに~現場の発想
うちの子、国語ができなくて…とお悩みの保護者は多いと思います。
お気持ちは察します。
うちの生徒、国語ができなくて…と私も悩んでいますから。
しかし、読解力は一朝一夕ではつきません。
では、どうすればよいでしょうか?
国語の先生なら、「読解力をつけるためには、こうしましょう!」と言うでしょう。
しかし、これは現場を知らない答えです。
国語1教科しか教えていないので、個々の生徒の合否に責任を負わなくてよいのでしょう。
繰り返しになりますが、読解力は一朝一夕にはつきません。
国語の先生が説く、読解力をつける方法は簡単には身につきません。
国語の先生が説く方法をすぐに実践できる生徒は、そもそも国語ができる生徒です。
では、どうすればよいのでしょうか?
現場の発想は国語の先生のものとは真逆です。
読解力がなくても、合格させるためにはどうすればよいか、というのが現場の発想です。
現場はとかくままなりません。
現場では、せっぱつまった状況下で、ありあわせの材料で必要なものを作るしかありません。
受験の現場に正攻法は役立ちません。
受験の現場に必要なのは奇策です。
いわば受験の現場はすべてが一ノ谷であり、桶狭間なのです!
受験戦略はすべて、弱いものが勝つための奇策でしかないのです。
以下では、読解力がゼロでも、合格するための作戦を紹介させていただきます。
1 作戦の概要
作戦はこうです。
算数の得点力で一点突破をはかります。
合格者平均点、つまりボーダー+10点なら、無理ではないでしょう。
算数がボーダー+10点、理科・社会がちょうどボーダー、国語がボーダー-10点で、4教科でボーダーに達します。
国語は、極論ですが、読解力ゼロとします。
選択肢問題の正答率は、鉛筆を転がしたのと同じ正答率です。
4択が多いので、4分の1しか正答できません。
普通に考えたら、それでは100点満点中25点しか取れません。
中学受験の場合、多くの学校でボーダーは6割、100点満点中60点です。
しかし、これは発想が間違っています。
発想を逆転させなくてはなりません。
選択肢問題ができないなら、選択肢問題以外で点数を稼ぐのです。
2 作戦① 漢字とことばの知識の問題の攻略
まずは、漢字とことばの知識の問題で満点を目指しましょう。
ことばの知識の問題とは、例えば、熟語、和語、慣用句などの問題です。
漢字とことばの知識の問題だけで、通常、100点満点中20点ほどが配点されています。
これはかなり大きいと言えます。
漢字とことばの知識は塾の教材をしっかりと学習すれば満点も夢ではありません。
20点を死守しましょう。
3 作戦② 記述問題の攻略
つぎに攻略すべきは記述問題です。
「え!? うちの子は選択肢問題より記述問題の方が苦手で、記述問題の答案はいつも白紙なのよ! そんな作戦はありえないわ!」という声が聞こえてきそうです。
しかし、現場の実感は真逆です。
中学受験の場合、記述問題は選択肢問題より点数が取りやすいのが普通です。
記述問題は、傍線部近くをまとめれば、満点とはいかなくても、それなりの点数がもらえる場合が多いからです。
手を動かして、書こうとしないから、点数になっていないだけです。
文章が書けるようになる極意は何でしょうか?
まずは手を動かして、何か書いてみることです。
記述問題ができるようになるためには、まずは手が動くようにさせることが大事です。
逆に言うと、手が動きさえすれば、記述問題で点数をとることはさほど難しいことではないのです。
控えめに言って、記述問題で20点中5点以上は稼ぎましょう。
4 作戦③ 接続語・指示語の問題の攻略
残りは選択肢問題60点分ですが、4択が多いですので、鉛筆を転がすだけで、60点の4分の1、15点は稼げます。
しかし、これではまだ目標点には足りないので、選択肢問題の中でも、パターンが決まっていて、点数がとりやすい接続語・指示語の問題を攻略しましょう。
接続語は「しかし」とか「つまり」などの文と文をつなぐことばです。
文と文の間に空欄があり、空欄に入る適切な接続語を選びなさい、といった出題がされます。
指示語は「これ」、「それ」、「あれ」などの、こそあど言葉です。
「これ」が指すものは何ですか、という問われ方がされます。
接続語と指示語の問題は必ずと言っていいほど出題され、場合によっては、かなりのウエートを占めます。
普通に訓練すれば、10点近くは見込めます。
5 作戦のまとめ
これで100点満点中、漢字とことばの知識で20点、記述で5点、選択肢問題で15+10点、合計50点、目標達成です!
つまり、読解力ゼロで本文の内容をほとんど理解できなくても、訓練次第で、ボーダー-10点くらいはとれるのです。
以上は極論かもしれませんが、国語が苦手な場合、読解力をつけるために時間を費やすのは受験戦略上間違っています。
入試までという期限があるのですから、時間は限られています。
発想を逆転させましょう。
国語が苦手な場合、漢字とことばの知識、記述、パターンの決まっている接続語や指示語の問題で点数を稼ぐことを優先させましょう。
もちろん読解力をつけるのは大事なことです。
しかし、読解力は地道に身につけていくものです。
それを受験戦略の中に組み込むのは間違っています。
6 男子校・女子校の各作戦
なお、以上の作戦は特に男子校にあてはまります。
各問題が比較的簡単で、大量の問題を処理する能力が求められる女子校の問題にはあまりあてはまりません。
国語ができないけど、算数は強いという女子には、記述問題の多い学校をおすすめします。
記述問題は、手を動かすことさせできれば、選択肢問題より差がつきにくいからです。