
0 はじめに
1 合格する勉強法
2 合格する勉強法・補足
3 問題が的中すると合格するのか
0 はじめに
四谷大塚とサピックスは詳細な入試問題分析の冊子を作成しています。
サピックスのものはまだしも、四谷大塚のものは文字だらけです。
入試問題に習熟していないと、読みこなすのが大変だと思います。
塾講師だけが知っておけば十分だろうというようなマニアックな情報も多いように思えます。
何がポイントなのかがわからないという保護者もいるでしょう。
よって、どの学校を受けるとしても、保護者が知っておくべきことをわかりやすくお伝えしたいと思います。
ポイントさえおさえておけば、細かい情報は、必要に応じて、拾い読みでよいでしょう。
間違った勉強法で時間を空費している家庭がけっこう多いように思えます。
受験勉強の場合、時間が限られていますので、時間を無駄にすると、合格は遠のきます。
ぜひこの記事を最後までお読みになって、合格するための勉強法を学んで下さい。

1 合格する勉強法
昨今の入試問題では、どのレベルの学校の、どの教科でも、出題される単元や分野の偏りがなくなりつつあります。
算数ではすべての単元からまんべんなく出題されます。
理科でも物理・化学・生物・地理の4分野から均等に出題されます。
社会は偏りがややありますが、地理から3分の1、歴史から4割、公民などから4分の1という程度の偏りです。
また、どのレベルの学校の、どの教科でも、塾の教材に載っているような標準問題からの出題がほとんどです。
算数は、難問・奇問が減り、典型題が大半です。
ただし、見た目や設定が少しアレンジされていることが多くなっています。
理科でも塾で取り組んだような標準的な問題が大半です。
社会では、細かな知識ではなく、基礎知識を正確に理解し、覚えることが要求されています。
したがって、塾の授業をしっかりと聞き、学習内容をきちんと理解した上で、塾の教材を丁寧に家庭学習することがますます合格への一番の近道となってきています。
簡単なことのようですが、これをほとんどの子ができていません。
御三家レベルの子の多くもです。
授業を聞くというのはただ聞くということではありません。
それでは聞いた気になっているだけで、何も理解していない可能性が高いでしょう。
授業を聞くというのは授業に能動的に参加するということです。
たとえば、算数の解説が行われているときは、講師と一緒に問題を解きながら授業を聞くというイメージです。
このことを意識させるだけでも、少しは授業態度が改善される場合がありますので、ぜひ試してみて下さい。
また、家庭学習は量よりも質が大事です。
実証研究の結果からも、勉強量と成績は必ずしも比例していません。
量をこなすことより、学習内容を正確に身につけることを優先させて下さい。
たとえば、算数なら、問題をただ解くのではなく、解き方を説明させるのがよいのですが、なかなか難しいですので、できる範囲で試してみて下さい。
以上を言い換えますと、授業を聞き、授業の内容を家庭学習で身につけるという、当たり前のことが当たり前にできることが入試で大きなアドバンテージとなります。
四谷大塚とサピックスのメッセージとはそのようなものだったと思います。
今回ばかりは私もまったく同じことを声を大にして言いたいです。
多くの塾講師も同意見だと思います。
受験に王道はありません。
当たり前のことを当たり前にできるようにしましょう。
2 合格する勉強法・補足
以上で言及できなかったことを補足しておきます。
まず、国語です。
文章は平均約8000字からなります。
約8000字の文章を一定の時間で読み切り、文章の言いたいことを理解する練習をすることがまず何よりも大事です。
加えて、知っておいていただきたいのが以下の2点です。
記述問題は傍線部付近をまとめるものが7割です。
ことばの知識問題では熟語などの語彙力を問うものが多くなっています。
理科・社会では、身の回りや世の中のことに関心を持つことが必須となっています。
こちらは家庭でのフォローが有効なものだと思います。

3 問題が的中すると合格するのか
さて、以上を補強する意味で、的中問題を解いたら、合格するのかというテーマでお話をさせて下さい。
ここでは、四谷大塚とサピックスによる問題の的中が実際に合格実績を上げているのかどうかを検証してみたいと思います。
今回は国語を取りあげます。
他の教科は合否に関係がなさそうな問題ばかりが的中問題として取りあげられているからです。
また、一般的には、国語の文章の的中がもっとも合否に影響すると言われているからです。
まず、サピックスから検証してみましょう。
吉祥の如月かずさ『給食アンサンブル』を抜粋箇所まで的中させています。
合格実績は163名から174名に増えています。
慶應湘南藤沢の松村圭一郎『うしろめたさの人類学』を抜粋箇所まで的中させています。
合格実績は40名から42名に増えています。
青山の如月かずさ『給食アンサンブル2』も抜粋箇所までズバリ的中させています。
合格実績はなんと106名から92名に減っています。
浦和明の星の八束澄子『僕たちはまだ出逢っていない』も抜粋箇所まで的中させています。
合格実績はやはり475名から441名に減っています。
どうやらサピックスの問題的中は合格実績に寄与することがなさそうです。
四谷大塚の場合は、合格実績を調べることができた範囲では、問題を的中させた22校のうち、合格者数が増えたのは12校です。
合格実績が上がった学校(12校)
学女・東農大一・サレジオ・栄東・学習院・渋幕・共立・SFC・香蘭・女学館・鎌倉学園・芝工大
合格実績が上がらなかった学校(10校)
品女・本郷・巣鴨・筑附・青山・秀英・芝・早稲田・頌栄・フェリス
しかも、合格者数が増えた12校のうち、誤差レベルの1~3名しか増えていない学校が3校(女学館・鎌倉学園・芝工大)もあります。
結論!
問題を的中させることに意味なし!
よって、過去問を入試直前にやり込むことも意味がないでしょう。
模試の結果からも、合格可能性は基礎学力でほとんど決まっていることは明らかです。
四谷大塚とサピックスの入試問題分析からも、昨今の中学入試では、どの教科でも、標準的な問題がどの分野からもまんべんなく出題される傾向が強まっています。
よって、いわゆる「傾向と対策」にこだわることはあまり重要ではなくなってきているのです。
当たり前のことを当たり前にできるようにすることがやはり合格への一番の近道です。
