0 はじめに
1 算数
2 国語
3 理科
4 社会
はじめに
今回のテーマは6年生教材の使用法です。
5年生まではカリキュラム通りに教材を使用して問題ないでしょう。
しかし、6年生は教材の使用法も重要となります。
入試の合否を分けるのはわずか2~3問の差です。
教材の使用法のちょっとした差が合否を分ける可能性が十分にあります。
塾がオーダーメイドで戦略を立ててくれない場合は、保護者が戦略を立てる必要があります。
ただ、私のような個人塾の塾講師でもない限り、6年生の4教科の教材を使用してみたことのある人はほとんどいないでしょう。
以下は、四谷大塚の6年生の教材を改訂後1年間使ってみてのオススメの使用法となりますので、ぜひ参考にして下さい。
1 算数
四谷大塚のカリキュラムでは、算数は、5年生までに入試に出題される内容を一通り学び、6年生でそれを総復習することになります。
上半期はまだ例題→類題という形も少し残っていますが、基本、問題演習が中心となります。
四谷大塚の場合、やはり予習シリーズと演習問題集が最優先されるべき教材となります。
しかも、6年生ともなりますと、毎週、予習シリーズと演習問題集の基本問題と標準問題だけでも数十問くらいありますので、十分な問題量だと言えます。
では、予習シリーズと演習問題集のオススメの使用法を説明させていただきます。
6年生になると、各問題に難易度を示す印が必ずついていますので、易しいものから取り組むようにして下さい。
まったく歯が立たない、難しい問題に無理に手を出す必要はありません。
合格の極意は易しい問題を取りこぼさないようにすることです。
また、原則、ノーヒントで問題に取り組んで、解けなかった問題には後の復習のために印をつけておきましょう。
上半期の予習シリーズ、もしくは予習シリーズと演習問題集は、カリキュラムに合わせて1周、夏にもう1周した方がよいでしょう。
下半期も、カリキュラムに合わせて1周、冬にもう1周した方がよいでしょう。
私どもの場合は、下半期を過去問演習にあてるため、夏に下半期の教材を1周させ、カリキュラムに合わせてもう1周させます。
ただ、普通は、そうなっていない場合がほとんどでしょう。
その場合は、冬に算数の予習シリーズや演習問題集に取り組む時間を空けておいた方がよいでしょう。
それくらい予習シリーズと演習問題集は最優先されるべき教材です。
ちなみに、下半期からテキストは偏差値55までの生徒を対象とした有名校対策と偏差値55以上の生徒を対象とした難関校対策に分かれますが、塾の指示通りの方を使って問題ないでしょう。
教材はどれを使用するかということより、どのように使用するかということの方が大事です。
また、下半期は最難関問題集がなくなりますが、有名な算数難問題集があります。
ただ、算数難問題集は相当難しいですので、開成・桜蔭などを目指していて、算数が得意な場合のみ、使用した方がよいでしょう。
入試の難問は、見慣れない問題であるから、難問なのです。
難問題集に取り組んだからといって、取り組んだものがそのまま出題されるわけではありません。
普通の問題集は解けない問題を解けるようにするために取り組むのですが、難問題集は、解けなくても、パズルのように、楽しみながら難問にチャレンジするための教材だと考えるべきでしょう。
よって、難問題集はすべてに取り組まなくてもかまいません。
できる範囲で必要なところのみに取り組んで下さい。
さて、メイン教材と違って、使い方で差がつくのが四科のまとめでしょう。
言うまでもありませんが、中学入試は算数で決まると言っても過言ではありません。
しかも、算数は力をつけるのに時間がかかります。
よって、特に夏までは算数優先が鉄則です。
あくまで参考のためですが、私どもの場合、夏明けに過去問演習を始めるまでに、入試問題に取り組めるだけの算数力をつけることを夏までの最大の目標としています。
よって、四科のまとめは5年冬期講習と6年春期講習で1周、6年夏期講習でもう1周させます。
さらに、6年上半期に、プラスワン問題集などの四谷大塚のもの以外の問題集にも取り組ませます。
要するに、過去問演習を始めるまでに、予習シリーズ、演習問題集、週テスト問題集、四科のまとめ、プラスワン問題集などの計5冊をそれぞれ2周させ、算数の基礎固めを行っているのです。
なお、四科のまとめは巻末の復習テスト(基礎編・標準編)がチェックテストとしてとてもよいですので、積極的に活用して下さい。
また、総合問題集もオススメです。
全14回のテスト形式の問題集です。
問題Aと問題Bに分かれていて、問題Aは基本問題と標準問題が中心、問題Bは標準問題と標準やや難の問題が中心となっています。
私どもの塾では冬期講習中に問題Aで何回満点がとれるかを競わせます。
基本問題を取りこぼさない訓練として、とてもよいのです。
2 国語
国語の教材は5年生までとあまり変わりません。
ただ、やはり下半期からレベル別に有名校対策と難関校対策に分かれます。
個人的な意見ですが、国語の四科のまとめは、量だけが多くて、ポイントが絞られていないので、使用しなくてよいでしょう。
他方、漢字とことばの巻末の小学漢字1026題は、入試における漢字問題の配点の高さから考えますと、必須でしょう。
私どもの塾では上半期・下半期の小学漢字1026題に夏に取り組ませます。
ただ、入試直前でもよいかもしれません。
漢字・ことばの学習を補うとしたら、出る順をピンポイントで使うのがオーソドックスなのではないでしょうか。
3 理科
理科も、算数と同様、総復習となります。
上半期の予習シリーズは解説のみで、演習問題集に問題が集められています。
ドラえもんの学習マンガや『受験理科の裏ワザテクニック』で原理を理解して、演習問題集で問題演習を行うという流れがよいと思います。
下半期はやはりレベル別に有名校対策と難関校対策に分かれます。
どちらも毎回必ずマスターしたい例題数題ほどからなります。
授業で予習シリーズの例題をしっかりと理解した上で、演習問題集で問題演習を行うという流れになります。
問題演習は、上半期も下半期も、演習問題集だけですませてもよいでしょう。
演習問題集がかなりのボリュームですので、これ以上問題演習に時間をかけても、効率が悪い気がします。
演習問題集は、算数と同様、まったく歯が立たない難問に無理に手を出す必要はありません。
なお、有名校対策の予習シリーズにはポイントチェックという穴埋め式の問題もありますので、理科が大の苦手という人はポイントチェックにしっかりと取り組みましょう。
さて、四科のまとめですが、昨今の入試の傾向から考えますと、少し知識偏重かと思います。
逆に、理科の知識は四科のまとめだけで十分だとも言えます。
予習シリーズが改訂で問題演習中心の構成になったのは、知識偏重の四科のまとめとのバランスをとったからなのかもしれません。
四科のまとめは、知識を固めるため、夏+直前、あるいは上半期+下半期+直前などの形で2~3周して下さい。
参考までに、私どもの場合、春から夏までに栄光ゼミナールのコンプリーションを1周、夏+2学期または直前で四科のまとめを2周させています。
また、理科が苦手な人は、四科のまとめが重いかもしれませんので、日能研のメモリーチェックの使用を検討してみて下さい。
4 社会
6年生上半期の社会では、学習指導要領が改訂されたため、5年生までに習っていない現代史や公民を学習します。
総復習は夏以降となります。
よって、下半期の予習シリーズと演習問題集、四科のまとめ、ニュース最前線について説明させていただきます。
下半期の予習シリーズは分野横断的なテーマ別編成となっています。
これは入試問題の傾向から考えると、妥当な編集方針だと思います。
予習シリーズも演習問題集も問題演習中心ですが、基礎知識の確認も、演習問題集の基本問題チェックで一問一答形式で行えるようになっています。
これもとてもよい編集方針だと思いますので、まずは予習シリーズと演習問題集にしっかりと取り組んで下さい。
次に、四科のまとめです。
社会は、工夫のしかたはあるにせよ、暗記科目であることに変わりはありませんので、知識の確認ができる四科のまとめがとても重要になってきます。
四科のまとめはとてもよい教材ですが、同じ問題集を何周も繰り返すより、できれば、もう1冊類似の問題集を併用した方がよいでしょう。
日能研のメモリーチェックでよいでしょう。
私どもの場合、春から夏までにコンプリーションを1周、夏+2学期で四科のまとめを2周させています。
入試直前期は個々人の状況を見て考えます。
社会は、量が多くて時間がかかりますので、できれば早めに始めて、四科のまとめとメモリーチェックをそれぞれ2周した方がよいでしょう。
大変ですが、社会は努力が報われやすい科目ではあります。
最後に、秋に発売されるニュース最前線についてです。
入試の時事対策問題集はこれ1冊で十分です。
入試では、時事問題も出題されますが、時事問題を枕にして、教科書で習う知識を問うというパターンの方が圧倒的に多くなっています。
時事問題が特に多く出題される学校でもない限り、時事問題対策にあまり時間をかけるのは得策ではありません。
他塾のものも、四谷大塚のものと大差ありませんので、併用するのは効率がよくないでしょう。