いわゆる過去問を解くことは必要です。受験生全員が受ける模試の問題と特定の学力層だけが受験する入試問題とは似て非なるものだからです。また、出題範囲の存在するカリキュラムテストと出題範囲の存在しない入試問題が異なるものであることも言うまでもないからです。しかし、過去問の傾向を研究し、対策を行うほど、合格可能性が上がるというわけではありません。過去問の類題が出題されても、基礎学力がなければ、それを解くことはできないからです。
第1志望校が集中する1日校の倍率はおよそ3倍です。単純計算で、合格者平均点と受験者平均点の間、つまりボーダー付近の各教科約5~10点差以内に受験者のおよそ3分の1が集中していることになります。そうした接戦では、スポーツと同様、ミスを減らし、得点を稼ぐべきところで確実に得点を稼ぐということ以外に勝利の方程式はありえません。
6年生の9月からは志望校の過去問を解いてもらいますが、それは、いわゆる学校別対策のためというよりは、どんなテストにでも通用する必勝パターンを身に付けてもらうためです。入試に合格するための極意は、誰もが解けると思われる問題(学校によってレベルの差はありますが)で確実に得点することでしかありません。つまり、大手塾が的中を競うような難問・奇問ではなく、塾で何度も解いたことがあるような標準的な問題を確実に解けるようにすることが合格への最短ルートなのです。